第7回 今日も土曜の夜は更けていく(2)
 

 先日、ドッグレッグスのミーティング中にラ・マンの長男・遙が「ハナ、ハナ」と鼻水をたらした顔をぐいぐいと母(ワルキュレー瑞穂)にむけていた。「自分でふきなさい」とティッシュを渡そうとする母に対して彼は胸をはって「できないよ。だって遙まだ2才だもん」とのたまった。何という屁理屈、なんという依存心。まさに甘えん坊将軍パワーのフル回転である。しかし、遙に負けないぐらいの甘えん坊将軍がドッグレッグスには何人か存在している。

 遙の父であるラ・マンもその一人である。正確にいうとラ・マンから女装キャラクター洋子ちゃん(12才)に人格がすりかわった時だ。実は洋子ちゃんはアンチテーゼ北島の大ファンである。ある日の打ち上げでほろ酔い気分の洋子ちゃんは「ゆきのりくーん」と甘い声をだしつつアンチテーゼ北島の股間めがけて、ゴロゴロニャンと甘えまくり、「金○マまくら」をねだった。さらに、アンチテーゼ北島に「いっしょにおふろにはいりましょーん」とお風呂介助を求めるというセクハラまがいの暴挙にでて人々を震撼させたことがあった。

 そして、ドッグレッグスの甘えん坊将軍ナンバー1といえばサンボ慎太郎。彼はとにかくベターと人にくっついてくる。お酒がはいるとさらに拍車がかかり隣に座っている人(男女関係なく)の太股をナデナデとなではじめる。その他にもよりかかってきたり、すりよってきたり。とにかく殴られても、蹴られても、人肌を求めて突進してくる。

 まだ菓子パンマンが入って間もない頃、たまたま彼がサンボ慎太郎がとなりに座っていて、ナデナデ攻撃の標的になったことがあった。それを見ていたみんなが「菓子パンマンも負けずに甘えて反撃するんだ」とはやしたてた。しかし彼はキョトンとしてとまどうばかりだった。その姿をみて私たちはハッとした。菓子パンマンは甘え方を知らないのだ。小さい頃から虐待をくり返され、邪魔者扱いされた上に捨てられた彼は、甘えるという経験をしたことがないのだ。だから「甘えてみろ」といわれてもどうしたらいいのかわからず、ただたちすくむばかりなのだ。この時、彼の背負っている影の大きさを実感した。

 しかし、そんな菓子パンマンも今では、かけていた部分をとりもどそうとするかのように甘えまくっている。ベタベタ、ピトピト、ナデナデと何かというとマチズモ神山の体にタッチしたがる。なんとあのサンボ慎太郎と甘えん坊将軍ナンバー1の座を奪い合うほどになっている。ちょっと退行しすぎていて、大丈夫かなと心配になることもあるが、セッセと菓子パンマンの食事を作ってあげてるマチズモ神山の姿をみてると、まあいいか……という気になってくるのでした。