第8回 リングネームは恐ろしい
 

  ドッグレッグスのリングネームはだいたい北島代表が決めている。時々、「自分で決めたい」と選手自身が考えてくる場合もあるが…どうもいまいちのも が多い。例えば「ハリケーンなんとか」とか「レインボーなにがし」とか…どれもこれもセンスがをうたがってしまうものが多いのだ。確かに自分のことを 客観的に見てリングネームを考えるのはかなり大変だ。また障害者プロレスの場合は見た目だけでなく、そのレスラーの抱える背景や人間性も巧みに盛り込んで考えられているのでますます難しい。

 リングネームは非常に難産の場合もあれば、パッと決まってしまうこともある。 またすごくつけたいけど、なかな本人に伝えられない場合もある。例えば「ジャイアント馬場子」などはそうだった。誰もがその顔、その年齢ともに、このリングネームがぴったりだと思いつつも、本人が了解してくれるか不安で、なかなかいいだせなかった。しかし、思い切って伝えてみたら意外に、本人はそのリングネームを気に入ってくれ?今ではファイトスタイルも似てきて、おまけに「私も赤いちゃんちゃんこを着るまでリングにあがる」と豪語しているらしい…。

 また、せっかく考え抜いてつけたのに、消えてしまったリングネームもある。例えば「にゃんにゃんフェラクレス」。彼は入場テーマもドッグッレッグス史上最もエロティックだったし、おおげさなリングコスチュームもドリフみたいで味が あった。その他「鏡剣死郎」「黒沢ラヴ」「エンジェルめぐちゃん」…そして、これを知ってる人はかなりの」マニアだが、謎のユニット「P-ACT」って いうのもあったな…う〜んあまり思い出したくない

 さて、こん風に色々な思いがつまっているのが、リングネームだが、ちょっとやっかいな面もある。それはドッグレッグスの中ではこのリングネームが完全に定着しており、リング外の日常生活の中でも使ってしまうのだ。例えば地方に遠征に行った時など、私はいつも添乗員をやっているので駅や空港でみんなを集め るためにこのリングネームを叫びまくっていることがある。「ウルフはこっちの席」「ブルースここに来て」「ナイスガイ大丈夫?」「ラ・マンあちこち動き回 らないで」などなど…。そして、この声を聞いた周りの人々はいったいどんな人物がくるんだと、目を見張っているとそこへやってくるのは思いっきり日本人で、とっても素朴な普段着を着た彼らだ…冷静に考えると凄く恥ずかしかったりする。でもだめなんです。もう今更ちがう名前で呼べない。だって本名を忘れてる時もあるんだもん…。