第14回 ファションリーダー
 

 今回はドッグレッグスのファッションリーダーたちをご紹介しよう。
まず、常に時代を先取りしすぎている男、それはサンボ慎太郎だ。昔から慎太郎はいつもズボンがずり落ち気味で、かろうじて腰にひかかっているというような格好をしてた。私たちは「だらしがない」だの「ズボンぐらいしっかりはけ」と罵倒していたのだが、なんとこの格好こそ、後に渋谷の若者たちの間で流行ったルーズスタイルそのものであった。渋谷の若者がみんな慎太郎のようになったときには、「時代が奴に追いついた!」とみんでびっくらしてしまいした。

 また、慎太郎の着ているものは何気にブランドものが多い。冬にはバーバリーのハーフコートを、春にはFILAのポロシャツを着ていたりする。だけど慎太郎のすごいところは、どんなに流行りの格好をしていても、どんなに高いブランドものを着ていても、疲れたオヤジ風に着こなしてしまうところだ。あの着こなしの前には、きっとあのピーコも何もコメントできなくなってしまうだろう。

 女性部門(?)のファションリーダーはやはり愛人だろう。最近はお星様かハートマークがついている服しか着ないらしい。もちろん、下着も全て女性ものだ。また、女子高校生制服図鑑を買って、最近流りの制服もチェックしているらしい。

 最後に健常者部門だが、これはマチズモ神山で当確だ。正確に言えばドッグレッグスが旗揚げした頃の神山なのだが、当時の彼の恰好はいつ会ってもタンクトップとバギーパンツだった。バギーパンツとはお腹のあたりが幅広のゴムになっており腰まわりや太ももはゆったりしていて、足首にかけてつぼまってくるというズボンだ。よくプロレスラーやボディービルダーがはいている。

 このバギーパンツ、形はまあ許せるが色と柄がもの凄い。よくとげ抜き地蔵にお参りにきたおばちゃんがもっている、てれてれのビニールの手さげ袋を思い浮かべてもらうといいと思う。紫と黒と茶色と緑色がわけのわからない複雑な模様で絡み合っているものとか…とにかくすごい配色だ。当時の彼は「どこでもすぐトレーニングできるし、お腹も冷えなくていい」とすごく気にいっていて、どこにいくのにも愛着していた。地方に行くのにもバギーパンツとタンクトップという姿の彼に私は「新幹線に乗るんだし、こういう時ぐらいは普通の格好にしたら」というと「何言ってんの、これはお出かけ用のバギーだよ」と胸をはられ、絶句してしまった。きっとあの頃の神山くんは冠婚葬祭用のバギーパンツを持っていたのではないか。