第1回 ゴッドファーザー
現在のヘビー級障害王であるゴッドファーザー選手にインタビュー。 「ドッグレッグスの番人」と呼ばれる頼れる最年長は、何を考えて試合に臨んでいるのでしょうか。また、障害者レスラーたちについて感じている不満も語ってくれました。
 

──まず前回の興行(2000年7月15日の対あらいぐまラジカル戦)についてなんですが、あらいぐまとあえて打撃戦を展開したのはなぜですか?
GF  体重差があったから。

──普通は反対じゃないですか(笑)。体重が自分より重い相手に、打撃戦は挑まないでしょ。
GF  いや、そっちの方が勝つ確率が高かった。あらいぐまは、腕も足も太いし、力があるから関節技がかかりにくい。だけど意外と打たれ弱いという弱点もあるんだよ。だから、打撃でラッシュをかけることにした。今回はハードなトレーニングをして臨んだから、スタミナには自信があったしね。

──本当は、オープンフィンガーグローブを着けて、顔面パンチありでやる予定だったんですよね?
GF  試合前になって、あらいぐまが嫌だと言ってきたんだよ。やっぱり怖かったんじゃないかな。

──ドッグレッグスがオープンフィンガーグローブを着けることとか、顔面パンチを解禁することはどう思いますか?
GF  今の格闘技界の流れからすれば、やるべきだと思う。

──どの選手も やっぱり打撃はパンチに頼るようになると思うんですよ。そうなると立ち技が同じような展開になって、レスラーの個性がなくなってしまうという危惧があると思うんです。ゴッドファーザーの袈裟斬りチョップや、あらいぐまのラリアットなんかが、見られなくなるのはファンにとっては寂しいのでは?
GF  いや、みんながグローブをつけるようになったら、その中でオレは闘い方を変えていくよ。みんなと同じになるような戦法はとらない。

──はっきり言って、試合を見ていると古き良きドッグレッグススタイルから脱皮できない選手もいますよね。現実的には、バーリトゥードに対応できない選手もいるような気がします。
GF  バーリトゥードは本人がやるかやらないかだから。無理にやらせてもしょうがない。やる側の言い分になるけど、ルールは二通りあっていいと思う。

──ルールがいくつもあると、見ている方は混乱するかもしれないですね。
GF  でも、お客さんはわかってくれるんじゃないかな。

──あらいぐまを倒して、最後に指を二本出したパフォーマンスの意味は。
GF  残っているのは慎太郎とブルースだけという意味。その二人を倒せば、ヘビー級のレスラーを全員倒しての連続防衛記録になる。それは、今まで誰もやったことがない。だけど、慎太郎との試合は最後にしたい。慎太郎とやるには、まだまだスタミナがいる。今のままでは勝負にならないんじゃないかな。

──やはり慎太郎は強いですか?
GF  ドッグレッグスのエースはやっぱり慎太郎。ウルフ、鶴園といっても、いざという時にメインをまかせられるのは慎太郎でしょ。観客にしても、どうでも良ければ何にも言わないと思うよ。スタミナもそうだけれど、関節技はやっぱりうまいし、打たれ強さはとにかくすごい。一番、怖いのは打たれ強さかな。あいつをKOするのは難しいけど、実際に闘うことになったら打撃で勝負すると思う。障害者レスラーで慎太郎を完全にKOした人はいないでしょ。二人を倒した後のことは、今のところ考えていない。とりあえず、ヘビー級を全員倒すことをやり遂げる。

──試合では、ゴッドファーザーJr.との試合を望む声も多いですね。
GF  今なら勝てる。あと二、三年後はやりたくないけどね。顔面パンチもJr.がOKと言うのなら、グローブを着けてやってもいい。リングに上がれば、親も子も関係ないから。

 
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