第2回 サンボ慎太郎

今回の「リアル・ヴォイス」は、数年前までは自他共に認める ドッグレッグスのエースであったサンボ慎太郎選手です。 最近では「自称エース」と皮肉られていますが、それでも前回のゴッドファーザー選手のインタビューでもわかるように、団体内では常に高い評価を受けています。 新加入のレスラーに存在を脅かされ、ふがいない闘いぶりにファンから厳しい批判を浴びても、そんなことではめげないところがエースたる由縁なのでしょう。 周囲にまどわされずに我が道を行く。やはり慎太郎選手からは、 他の選手とはひと味違ったスターの香りがします。
 

──北島選手との対戦がまた組まれましたが(2000年11月11日・日本福祉大学)、このカードを望んだのは慎太郎選手なんですよね?
慎太郎  確かに言いました。やっぱり、北島さんには勝ちたいから……。

──だけど、負けたらすぐにまた闘わせてくれというのは、いくらなんでも都合が良すぎないですか?
慎太郎  いや、何と言ったらいいのか。それはそうですけど……噛みつかれて、反則行為されて、すごく悔しくて……ルールもバーリトゥードは納得できなかったから。

──でもバーリトゥードに関しては、納得して挑んだですよね?
慎太郎  納得はしたけれども……恥ずかしいんだけど、自分の心に少しだけ怖いという気持ちがあったから負けたと思うのですね。

──それはグローブを着けての顔面パンチのことですよね?でも、慎太郎さんがルールに関して納得できなかったのは、ロープエスケープや降着ブレークがなかったことではないのですか?
慎太郎  いや、それは確かに試合の前はそう思っていたけど、プライド10を見たら考えが変わりました。ロープエスケープや降着ブレークがなしでも、面白い試合ができることがわかったからです。だけど、グローブだけは心にひっかかっているんのですね。人を拳でぶつのは怖いというか……。

──殴られるのが怖いのではなくて、殴るのが怖いと?
慎太郎  はい。

──しかし、バーリトゥードなんですから、やられなきゃ、やられちゃうわけじゃないですか?お客さんが歯がゆく感じているのも、慎太郎選手のそういう、どこか甘いところなんじゃないですか?
慎太郎  いや、でも本当に殴られるのは別にいいんです。どちらにしても、僕はパンチが弱いから、殴ってもきかないと思うんです。だから、もっと違う感じの試合がしたいんです。

──バイオレンスな試合は本意ではなく、もっと楽しい試合がしたいということですか?
慎太郎  いや、そういうことではありません。正直に言って、昔みたいに試合でパフォーマンスをしたいとは思わなくなっています。

──ということは、強さを追求したいということですか?
慎太郎  そうです。

──つまり、掌打と寝技が中心だった、昔の「ドッグレッグス・スタイル」にこだわりたいということなんですか?
慎太郎  ドッグレッグススタイルを守りたいというか、僕は慎太郎スタイルを守りたいのですね。

──その気持ちは大事だと思うけど、時代の流れには逆らえないのでは?
慎太郎  僕はそうは思わない。

──今はいわゆるプロレスよりも、総合格闘技の方が勢いがあると思いますが。
慎太郎  僕も今はプライドが好き。

──でも、慎太郎スタイルが時代の流れに合っていると思っているんですよね?
慎太郎  はい。

──それがファンの気持ちとずれてしまっている原因ではないのでしょうか。慎太郎選手は、ホームページの掲示板は読みましたか? 慎太郎スタイルをかなぐり捨ててでも、勝ちに行って欲しいと思っている人が多いわけですよ。ただ、その一方で、慎太郎スタイルを見たい人もいるとは思いますが。
慎太郎  お客さんにどう思われようと、僕はこれからも慎太郎スタイルを守り通したいです。

 
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